法律事務所の利用について
契約書作成を依頼される方へ

契約書を効果的に作成する戦略

  1. ・契約書は、100のケースがあれば、100の種類が必要で、同じものはありません。
    不動産の賃貸者契約書、売買契約書、消費貸借契約書などは、定型的なフォーマットをベースに、比較的容易に作成できますが、これは例外です。
    ・実際は、取引実態を確認整理して、その取引に適合した契約書を作成する必要があります。
    これを怠ると、取引実態と契約文面が合わずに、契約書があるために、かえってトラブルが発生するという、皮肉な結果になることも、稀ではありません。
    ・ことに、専門家を通さないと、取引がうまくいかなくなった時に、どうするかという点、つまり、リスク管理の規定が欠落していて、トラブル解決にならず、それどころか、紛争がこじれるということになりかねません。 ・契約書は、弁護士に作成を依頼することをお勧めします。 ・契約社会であるアメリカやヨーロッパでは、日本とは異なり、素人ではリスクを取れないので、自分では作成しないのが原則です。

  2. 自分で作成した契約書をみて欲しいという依頼について
    ・契約書を自分で作成し、それをみてくれといって持ってくる方はよくあります。この場合、取引内容をよく理解しているものからヒヤリングをしないと、点検できません。 ・契約書は、前述のとおり、取引実態に対応している必要があります。契約文面に合わせて取引をするのでなく、取引に合わせて契約文面を作成します。その取引は、千差万別なのですから、契約書も、先差万別となるのです。 ・開発契約等は、持ってこられた契約案を手直しするよりも、当方でゼロから作成し直した方が手早いということも、少なくありません。

  3. 当事務所に契約書作成を依頼される場合
    ・契約の取引実態が判っているものに来所していただき、上記事項を説明してもらいます。
    その時、資料を持参してもらえれば、スムースに処理できます。
    その上で、原案を作成し、関係者に検討してもらい、完成させていきます。
    ・遠隔地の場合は、電話やメール等で対処します。 ・大きな開発プロジェクトのような場合は、開発段階ごとに契約書が必要になるため、どの段階にどのような契約書を作成するかを予め、検討すること必要となることもあります。 ・タイトルは、契約書の効力に影響はありません。覚書、確認書、覚え書き、協定書等のタイトルを持つものがありますが、いずれも、契約書として効力には変わりないのです。タイトルの如何ではなく、内容が重要です。

  4. ・契約書作成にあたって確認整理するポイントは、最低限、以下の内容が必要です。
     @取引の内容、実態
     A代金額と金銭の支払い方法
     B引き渡し、納入の時期と方法
     C検品の時期と段取り
     D担保責任と危険負担
     E解除事由、解約権の留保の有無
     F債務不履行のペナルティ
     G有効期間
     H管轄、適用法
    ・その他、開発契約等の場合は、以下の内容等が必要となります。
     I途中で遂行が不能となったときのペナルティと支払った金員の清算
     J表明保証責任
     Kその他、悪い方向に進行した時の、責任関係
    ・当時者が増え、あるいは、複雑な取引関係、開発関係になれば、さらに、規定すべき事項は増えます。
    また、補足する契約書が必要なことも多いのです。
    ・契約交渉を担当する者は、交渉の中で、@、A、B、C、Iを詰めておく必要があります。

  5. 公正証書にする場合 ・契約書を公正証書にすることがあります。
    これにより、金銭的請求権は、裁判所の勝訴判決なくても、強制執行ができます。
    ただし、公証人役場で作成するため、手間と費用がかかります。
    ・明け渡しや引き渡しなど、金銭的請求権以外は、公正証書にしても、それにより強制執行はできません。 ・金銭請求権以外で、裁判無く強制執行できるようにするには、簡易裁判所で即決和解をしておく必要があります。 ・公正証書は公証人役場で作成しますが、当事務所は、その作成の準備と段取りをします。

  6. アメリカかぶれの契約は排除すべき ・イギリスと、アメリカ等イギリスの旧植民地はコモンローの国で、民法典を持っていません。
    そのため、契約書を詳細にする必要があります。しかし、日本は、ローマ法の国であり、詳細な民法典を有しています。
    そのため、契約書に明記しなくても、民法の規定で解決できることが多いのです。そのため、日本法のもとで、契約書を作成するためには、詳細な文面は不要です。
    ・ローマ法は、イギリスと、その旧植民地を除いて、ほとんどの国で採用されていて、民法典の基礎となっています。
    従って、コモンローの国以外では、ローマ法という共通のルールがあるので、日本と同じように、むやみに詳細にする必要はないのです。
    ・また、アメリカの契約は、契約条項の文面が極めて長文で、極めてわかりにくい書き方をするのが習慣となっています。
    おそらく、弁護士が契約書作成事務を独占したいからでしょう。
    ・しかし、日本を含めローマ法の国では、「第O条第〇項〇号」と分けて、判り易くする工夫をしています。
    にもかかわらず、大企業の法務部の作成した契約には、アメリカの契約書をそのまま翻訳したような、冗長なもの時々見かけます。
    彼らは、アメリカのやっていることはより優れていると信じているようですが、未だにそのようなアメリカに劣等感を懐いている人間をみるとがっかりしてしまいます。
    ・契約書は可能な限り、判りやすく簡明にすべきなのです。

  7. 契約書作成費用 ・当事務所の作成費用
    日本語の契約書:一般的な取引契約のものは、A4判2頁まで5万円(消費税別)。
    その後、1頁増えるごとに、2万円。
    英文の契約書:2頁まで7万円。1頁増えるごとに3万円です。
    ・契約書点検
    日本語、英文:3頁まで3万円。1頁増えるごとに1万円です。
 

M&A・事業再生の弁護士-金子・福山法律事務所