M&Aセミナー

 第1回セミナー

 

M&Aは、

 成功率50%であることを知って初めて、成功する!

なぜ、グーグルは、世界中のロボットのベンチャーを買い込むのか

 

 

第一部 攻めのM&A

M&Aは、マネイジメント、マーケティング、商品・ビジネスモデルの開発、ブランド力の強化などと同列に置き、経済の早い変化に適応すべきである。

1.M&Aの成功率は50%

 1)M&Aで、企業や事業を買った場合、成功率は50%である。

     これは、M&Aに携わる多くの者の印象である。

   ・どんなにデューデリジェンス(DD)をしても、この程度の成功率である。

    しかし、だからと言って、M&Aにしり込みすると、時代の流れに押しつ

    ぶされるはずである。

   ・DDが不十分で、隠れ債務が見つかるなどの事故は、10%くらいである。

    DDを徹底しても、成功率の低さは解消されない。

   うまくいかないケースの大部分は、営業面である。

Ø 予定していたシナジーが効かない、

Ø 予定していた売り上げ・収益増が達成できない、

Ø 経営や技術を上手く承継できない、

 

    からである。

2)事業計画の充実では不足。失敗の根本原因は、人材不足や人的管理がうまくいかないことが最多!待遇改善がベスト。残したい人材はストックオプションを活用することもある(優秀な者を好待遇)。

  〜失敗例〜

   1.社風の不一致

   2.どちらかの組織が老朽化している

   3.新経営人の印象が悪い(占領軍のように乗り込む)

   4.労働環境が悪くなる印象を与える

   5.能力、実績が評価されない印象

   6.買収会社自身が昔ながらの年功序列

3)そもそも、M&Aの戦略が十分に練れていない!
本セミナーは、この点の充実を目指す!

 

2.「売却」をすることで買い取りを成功される

・うまくいかなければ、3年以内の売却することである。

・外資系の会社を顧問していると、親会社が英国、いつの間にか米国へ、その後オーストラリアになっていたというような例も、よくある。

・買った後の対応は、経営資源を消耗させないことが大事である。努力して、想定していたパフォーマンスが得られなければ、3年以内に売却して、M&Aを再挑戦すべきである。

・日本の経営者は、再度売るという決断ができない。失敗したと思われたくないという気持ちが働くようであるが、M&Aは、再度売ってもおかしくはないのである。

戦略的売却が重要!!

・買って売るというM&Aの手法を見せてくれたのは、GEのジャック・ウェルチ!
                                 ―
 シナジーを無視したM&A

  *70年代、日本がテレビを米国に輸出するのを見て、GMは、テレビのような差別化しにくい商品は、後進国の日本に任すとして撤退し、M&Aを駆使して、多角化に打って出た。「選択と集中」で、トップ部門になれないとみた分野の企業は、惜しげも無く売却し、今や、航空機エンジンの60%のシェアを占めるなど、発電用タービン、医療、エネルギー、金融など、巨大なコングリマリットを形成している。

  *最近、仏のアルストム(重電、鉄道)のガスタービン部門の買収(独シーメンス、三菱重工に勝つ)。

  ジェフ・イメルトは、Predixソフトを開発。エンジンやタービンのセンサーから得るデータを解析し、活用。

・韓国LGは、化粧品からスタート!M&Aで、電子・化学の財閥へ!

・ヤフーは、米移動体通信3位のスプリントを、221億ドルで買収。しかし、買収後2年間で63億ドルの赤字!このままで良いか?

  *ベライゾン、AT&Tの二強は強し。

 

3.M&Aは、絶好調の時にすべきもの  シナジーを創造する

・絶好調なのに、なぜするのか?

   今のような経済の変化の激しい時代では、絶好調ということは、次は、落ちるだけだからである。

絶好調の時こそ、技術移転、多角化を図るべきである。

   買い取り、多角化の資金は、確保が容易!

・例えば、自動車の部品メーカーは、国内マーケットは縮小することを想定する必要がある。医療機関や、建築部材などに、技術移転を考えるべきであろう。

技術移転は、マーケットを確保する必要
マーケットのある会社をM&Aで買いこむと効果的である。

なぜ、グーグルは、世界中のロボットのベンチャーを買い込むのか

  *ロボットは、巨大な発展産業であり、かつ、今の情報、IT産業と結合して、発展する産業。絶好調の時に、多角化し、次のマーケットを見据えているのだ。

  *米スカイボックス・イメージング(20基以上の超小型衛星の運用)を買収し、スペースX(テスラのロケット部門会社)に出資。

・なぜ、Appleは、EVメーカーを目指すのか。

   今、電気自動車メーカーを目指して、技術者を確保している!

   テスラと競争か!

   自動運転システム、ネットや、太陽光発電とシナジー、スマートシティへ発展する可能性!

   ◆テスラの車には、自動運転のセンサーが付いているのはなぜか?

・スマートシティ  インフラ構築!海外展開へ!

   建設会社がITをM&Aできるか?

   日本の国家戦略特区は十分か?

・なぜ、SONYは、苦境に陥ったか?  

  *理由は、テレビとパソコンに頼りすぎたからである。なぜ、GEのようなアメリカ企業がテレビを日本に任せ、撤退したかを理解せず、自分が、韓国、さらに中国に追い上げられた時、撤退できず、競争したからである。

   対策は、GEのように、力のあるうちにさっさと撤退し、多角化すべきだったのである。

   Googleは、世界中からロボットのベンチャーを買い込んでいるが、Sonyは、アイボーというロボット技術を売却してしまった。これでは、会社は破綻する。

  *ソニーが、自動運転技術の開発のため、ロボットベンチャーへZMP出資!

  *2015年4月、外科用内視鏡開発のソニーオリンパスメディカルソリューション発足。

・シャープはどうなるか?

  *テレビ、液晶パネル、太陽光パネルだけに頼っている。どれも、中国の安い製品と競合するのだが。

  Appleのような欧米ファブレス企業にも勝てない!

・オランダの「ロイヤル・フィリップス・エレクトロニクス」は社名から「エレクトロニクス」を消した!(医療機器が売上げの40%、照明35%)

IOT(Internet of things)、ドイツのIndustrie.0の変化を見逃すな!

 米・独で第4次産業革命が始まっている!

   センサー・データ解析−ネット−ビッグデータ−人工知能

   少品種少量生産・在庫物流の最適化
・産業革命だけでなく、物流革命、次世代農業、スマートシティ.....

 

4.マーケットが縮小する時の決断

1)安売り競争、拡大路線は自滅−合併へ!

・マーケットが満杯なので、拡大は過当競争となり、自滅する。

 安売り競争は、自滅するだけ!

・他企業を合併して、業界一を目指して生き残るか、他業種に多角化するかの決断をすべきである。

・コンビニ等で追い込まれたスーパーマーケット分野で、なぜ、イオンがトップ企業になったのか?

   ジャスコが、ヤオハン、マイカル、ダイエーなどを吸収。   

   いまや海外展開。

・先延ばしは、致命傷となる。早めの決断が必要である。

・規模の経済が働く分野では、他企業を合併する方向は、ベストな選択。

・タクシー業界は日本的悪弊

   会社再編の努力をせずに、行政上の規制を求める。

・電炉メーカーは40社がひしめいている。

  *今は内需に安住しているが、中国産の安値攻勢で今後どうなるか?

  *アルミメーカーは、13年10月、(株)UACJ 誕生(住友軽金属工業と古河スカイが合併。業界1位と2位と合併)した!

・第2地銀(100行)、信用金庫(400庫)はどうする?

2)「業態転換」の必要な時代へ!

マーケットが縮小どころか、消滅するという危機も起こる!

その時は、業態転換が必要となる。

・富士フィルムの成功、コダックの失敗

  *デジカメの登場で、フィルムの需要は急減した。富士フィルムは、富士ゼロックスを子会社化し、主に技術移転(医療機器、医薬品、液晶パネル、事務機、化粧品、健康食品)を目指してM&A(米診断器ソノサイトの買収など)を駆使し、危機を脱した。ところが、アメリカのコダックは、時期を逸し、倒産して、チャプターレブンの申請をせざるを得ないこととなった。

  *GE型M&Aはどうか?

・ところが、このデジカメも縮小!

   スマフォに押され、急速にマーケットが縮小している。経済の変化は、加速している。

・IBMの転向

  *汎用大型コンピュータで世界をリードしたIBMは、さっさとソリューションに企業に展開した。これを可能にしたのは、業態転換と共に、M&Aを駆使したからである。

  *最近は、クラウド・コンピューティングの普及で再度の試練!

・Samsungはどこへ行くか?

   日本のガラケーを駆逐したスマフォも既に成熟している。安い端末を生産する中国企業に追い上げられ、苦境に陥っている。

   経済の変化は、極めて速い。今後、同社はどこに進むか?

3)外国に売却の時代

   売却により、次の発展を目指せ!

外国への売却例は、極端に少ない ― 戦略的売却ができない!

・中国のメーカーが、日本の中堅・中小のメーカーを狙っている!買収後、メイド・イン・ジャパンで海外に販売! 

・中国家電大手のハイアールが、三洋電機の白物家電事業を買収

・中国家電大手のTCLは、ソニーに対し、どう出てくるか?

 

 5.成長期のM&A

1)・開発には資金が必要。試験機から量産型を開発するにも資金が必要。販売するにも販路が必要。ベンチャーの発展は、資金力のあるところに買い取ってもらうこと。

   開発者、研究者には、ストックオプションが効果的!

  ・開発リスクを金で買う!ベンチャーを買い込む。なぜ、グーグルは、世界中のロボットのベンチャーを買い込むのか。

   東大発のシャフトは、なぜグーグルへ行ったのか。

  ・ベンチャーは、開発を急がないと技術が陳腐化する。M&Aで、開発資金を確保する。

   技術の開発競争は、加速化する!

  ・早めに、創業資金を回収し、大手に、開発を委ねる発想もあり得る。創業資金回収は、IPOだけではない!

   エンゼルだけでなく、「シリアル・アントレプレナー」(Serial Entrepreneur)

2)・ソフトバンクは2000年に中国アリババに20億円出資(出資持分30%)。

    2014年9月上場、含み益8兆円(4000倍)!

  ・イーロン・マスクは、ペイパル(電子決済ベンチャー)をイーベイに15億ドルで売却して、これでテスラ、スペースX創業。その後、太陽光発電ベンチャー、ソーラーシティ買収。パナソニック、ダイムラーがテスラに出資。

  ・台湾半導体大手メディアテックは、社内のベンチャー投資部門を設立し、ベンチャー企業に投資すると発表−市場で有料ベンチャーを育成しながら、シナジーが効く本当の提携先を選択、育成。

  ・大企業は、自前主義だけで良いのか

   開発に時間がかかる!ベンチャーが育たない。

6.世界市場で、出遅れたらM&Aで挽回する!

 ・製薬業界や、医療機器分野は、日本は後進国!

 ・なぜ、武田薬品は、大型買収をするのか?

   武田薬品(日本でトップ、世界で16位)は、稼ぎ頭4製品が特許切れという危機!

   アメリカやスイスの製薬会社の大型買収。外国人経営陣。

 ・しかし、アステラス(10年前に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併)は、ガンの新薬で急伸し、利益で武田を越える。

 ・医療・医学は各国が戦略的に海外展開。

 

7.ホールディングカンパニーの効用  略的売却

・日本は1997年に、ホールディングカンパニーがやっと解禁された!

・成長事業を伸ばし、駄目な事業分野を縮小することが用意。

   「選択と集中」−M&Aで、買い取り、売却が容易。

・事業の、M&Aによる売却が容易。

   駄目な企業は、大胆に清算できる。

   中国の企業が、日本の企業を買収に来ている。

・コンビニの、業界2位ファミリーマートと4位のユニーグループの経営統合

   ホールディングカンパニー同士の統合

・大塚家具は、どうすればよかったか?

   父娘で争わずに、ホ−ルディングカンパニーにして、新しい売り方の法人と従来の売り方の会社を分け、経営すべき。新しい会社は、M&Aで成長させると効果的だ!

・老舗の生き残り戦術

 

8.経営者が変わらないM&Aも多い!嫌がる企業をマーケットへ!

・中小企業の後継者問題は深刻(70歳代の経営者の40%は後継者がいない)

・退陣が怖くて、M&Aに踏み切れない中堅・中小企業の経営者が多い。

   しかし、経営陣が、残留するM&Aは多い。

・地ビール最大手のヤッホーブルーイング(軽井沢、よなよなエール)は、星野リゾートの完全小会社になったが、キリンが共同出資し、発展中。しかし、経営者(井手直行)はかわらず。

・スウェーデンのボルボ、サーブは、中国企業がオーナーである。

 イギリスの、ジャガー、ミニクパのオーナーは、インドのタタ財閥である。

 米国のクライスラーは、伊フィアットがオーナー。

・ブランドを買う。技術を買う。

 9.M&Aを成功させる社内体制

   第4部4項へ!

 

第二部 経営に行き詰ったとき  救済型M&Aのすすめ!

 中小企業の70%は、欠損法人。利息のみ支払っている会社は、70万社!

1.民事再生は後回し!

・この時、最も避けるべきは、企業再生は、民事再生法申請しかないと思っている弁護士の門を叩くことである。民事再生法の申請は、できるだけ避けるべきであり、他に方法のない時に選択する最後の手段である。

・まだ余力がある時は、スポンサー探し、あるいは、金融機関と再建計画を相談するなどにより、M&Aにより再建の方法があることも多い。債務過剰は、DESが決め手!

・民事再生の申請は、可能な限り避けるべきである。民事再生だと、取引先を巻き込むからだ。

 

2.第二会社方式

 ・第二会社方式が効果的なことが多い。この場合、スポンサーを探し、受け皿となる第二会社を設立してもらう。ここに事業を移転し、旧会社には銀行債務を残し、事業譲渡の対価で清算する(対価の算定は、熟達したオーガナイザーが必要である)。

  例:陶磁器の「たち吉」を、投資ファンド「ニューホライズンキャピタル」が買収!

 旧会社の清算手段は、特定調停で行うべきである。ここで、金融機関に、債権カットを了承してもらう。破産は、金融機関が調停案を飲まない時だけである。

 ・ただし、保証協会付き融資、公庫融資があると、特定調停は困難。

 

3.債権買い取り 

 スポンサーにより、債権買い取りという裏技もある。社長の個人保証も、同時に解決できる。

 ゴルフ場の再生で多用されたが、他の事業分野も可能!

 

4.社長の個人保証 

 社長の個人保証も、「経営者の保証債務に関するガイドライン」を基に、自宅は最小限残すという方針は、明確にしていただろう。

 

5.再生支援協議会、事業再生ADR経由の解決

 1)中小企業再生支援協議会経由の解決は、解決の先延ばしにすぎないことが多い。

   第二会社方式、DESは、十分機能していない。

 2)銀行の協力があれば、事業再生ADR(産業活力再生法)もあり得る(名古屋の名門、劇場「御園座」、マンション分譲のコスモスイニシアは上場を維持しながら再建)。

 

6.民事再生で行くべき時

キャッシュフローが、持たない時はやむを得ない!(スカイマーク)

 申し立てると、弁済禁止の仮処分が出る。

 発令時の借り入れ債権、取引上の買い掛け債権は、弁済が禁止され、再生計画で返済(9割カット、残りを、10年分割もありうる)。

・特定調停(金融機関のみを相手にできる)と異なり、倒産扱いとなり、開始後の,新たな取引が、必ずしもスムースに行かない。

・申し立ての時は、プレパッケージが理想

 

7.会社更生はどうか?

・経営者管財人が可能となったので、使いやすくなった!

    JALの再生を見よ!

・民事再生は担保権は別除権として手続きの対象外であるが、会社更生では、更生担保権となるなど、会社更生は、手続きが複雑で、大企業向き。

・中堅企業でも、金融機関と強力な交渉が必要なケースでは、意味がある。

 

8.救済M&Aは、安く会社を買えるチャンス!!

  再生案件のみを狙っている、企業、ファンドも多い!

 

9.再生ファンドとの付き合い方!

 ・民間ファンド、公的ファンドなど各種ある。

 ・一般企業と共同の再生は効果的。

 ・借入れでレバレッジをかけるなど効果的である。ただ、5年くらいで回収に入るということを織り込むこと。

  将来のMBOも視野に!

 ・自分側に、ファンドとの付き合い方を指南してくれるアドバザーを持つべき!

 ・社長の個人保証の解決を忘れないこと!

 

第三部 M&Aの手法

1.誰に頼むべきか?

 ・大型M&Aは、銀行や大手証券会社が主役。

 M&Aの仲介業者にはライセンスの制度は無く、業法も無く、特別の法規も無い

  そのため、ブローカーも多く、仲介者、アドバイザリーは、ピンキリである。

  誰に、どう頼むかもアドバイスできるオーガナイザーが必要である。

2.利益相反に注意

売り手と買い手は、本来的に利益が相反する。このことを認識し、まず、頼れるオーガナイザーを依頼し、相談しながら進めることがベストである。

・売り手の場合、ことに、経営が行き詰っている時は、スキーム作りに、信用のおける優秀なアドバイサーを依頼すべきである。企業再生とM&Aに熟達した弁護士がベストである。

・買い手は、信用のおけるコンサルタントに相談しながら遂行することと、専門の公認会計士等の専門家による、デューデリジェンスが望ましい。

 

3.基本契約と本契約

CAを結んで、スタート

・M&Aの契約書の作成は、最も難しいもののひとつであり、高度の専門的知識が必要である。ことに、途中で上手くいかない場合の処理を、取り決めておく必要がある。専門家が関与しないと、無理である。

基本契約を結ぶと、互いに、優先権を持つ。デューデリジェンス等をして、問題なければ、本契約となる。

本契約後は、クロージングとなる

 

4.M&Aの対価(非上場企業の場合)

・原則として、会社の純資産にのれん代を加えたものである。

 のれん代は、年間の営業利益の2年分から6年分くらいである。ただ、実際はこれに様々な要素を加味して決めるので、信頼のおけるオーガナイザーが必要である。

・DCFは無力なことが多い!

有価証券報告書の「のれん代」が、金融庁の審査対象であることに注意!

 オリンパスの粉飾事件で、簿外損失の解消に企業買収が使われたことが大きい。

 

5.買収後の事業計画

 M&A後の事業計画は、綿密にしておくべきであろう。最低、5年間は必要であり、理想的想定と、現実的想定と、最悪の想定と、3種類用意すべきである。

 

第四部 海外M&Aのポイント

 ◆今年1〜3月に入ってから海外M&Aは、3.9兆円で過去最大(レコフ) 

 ◆大規模案件は銀行・証券大手が独占しているが(メガの海外進出の勢いは大きい)、中規模以下は、仲介プレーヤーが育っていない。

 ◆アセン市場内M&Aは、日本より活発(年間8兆円超)

 ◆アセアンだけでなく、アメリカ、ヨーロッパ(中国よりも消費マーケットは大きい)、中南米、アフリカもある。

 ◆ハイテクやインフラの輸出が要望されている。

   @スマートシティ等他の業種との共同進出

   AM&Aで現地調達を広げ、現地化!

1.売り情報の獲得

・ASEAN、東アジアは、相手国の銀行経由が手堅い。

 銀行は、傘下に、投資会社を持っている。

    ただし、日本で、この様な情報にアクセスできる者は、多くは無い。

 当事務所は、アクセスが効果的にできるよう、努力している。

・売却希望者は、買い手の状況に強い関心を懐いている!

    自己アピールが必要−英語版のホームページは必須

    自己の紹介資料(もちろん英語)は、必須!

・スキーム作りにプロの支援が必要!

    会社法上の特別決議の違い、簿外債務の発見困難なことなどに注意!

・税務の研究(ことに移転利益課税

    米国企業は社内に国際税務のプロを何百人と雇っている所も多い!

 

2.商標、意匠、特許 

商標、意匠は、進出前に登録しておく。これを怠ると、先行して登録され、現地で、自分のブランドで販売できないという事態に陥ることも少なくない。

・特許は、譲渡か、実施権(専用/普通)の設定か、慎重に選択すべきである。

  専用実施権の場合、地域を厳密に限るべきである。

  最低売却数量を明記して、売れない場合は、特許の実施権を回収して、他と取引すべきである。

・技術ライセンス契約は、許可、届出などの手続きがある国が多い。認められる技術に制限あることも多い。

・模倣リスクは常に注意すべきである。ことに、中国は、要注意である。

 最新技術は出さず、ブックボックス化しておくことが重要である。

・軍事転用技術など、禁製品に注意!

 

3.労働問題に注意点

 ASEAN等では、労働者保護は、日本より厳しいことをしておくべきである。労働者の意識も高く、労働組合は活発である。

 

4.意思決定の迅速化

日本企業は、決断が遅いことで有名!大きなチャンスを失っている!
・基本契約を承諾する取締役会までは、担当者は、決定権を持っていることが重要!

M&A専門の担当者ないしチーフを育成

・情報流出の防止−gunjumpingに注意!

 

5.インバウンドのM&A

日本のインバウンドのM&Aは極端に少ない。

・中国企業が、日本の中堅・中小のメーカーを買い始めている。メイド・イン・ジャパンとして、アメリカ市場等に売ることを考えている。

・国内のマーケットは、世界に連動している。ベトナムのIT/情報のトップ企業が、日本に上陸し、ことに、情報処理のアウトソーシング市場に参入し得る時代である。

 

6.優秀な、アドバイザーの確保が決め手

 

7.独禁法、PL法、消費者保護法を忘れないこと!

   業社団体の集まりがカルテルの談合と見なされやすい

   *中国が、独禁法違反で米半導体大手クアルコムに1150億円の罰金(端末メーカーに不当に高い使用料)。

   *米独禁法違反の罰金は、日本の自動車の部品メーカー(主にカルテ違反)が90%を占める。

 

8.米国FCPA(海外腐敗行為防止法)や英UKBA(贈収賄防止法)の域外適用に注意!

   *丸紅事件、パナソニック事件

   *日本国内では、不正競争防止法違反、株主代表訴訟(住友電工事件)のターゲットになるリスクもある!

 

9.撤退の時は、M&Aで売却すること!

  ことに中国からの撤退は難しい。

    董事会は全員一致中国人董事の同意が必要

    債務を全て弁済。

    外国法人の優遇税制を取り消され、5年間さかのぼることもある。

 

10.シンガポール商業裁判所

 ASEANでの取引契約では、管轄裁判所にシンガポール商業裁判所とするのは効果的!日本人裁判官もいる。

 商事仲裁はコストがかかるので、請求額が1億円以上でないと合わない。

 

 


M&A・事業再生の弁護士-金子・福山法律事務所