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【第6章】 M&Aの売買価格
1.M&Aの価格に相場は無い

M&Aでも、企業や事業の売買価格には,相場があるのだろうか。これに対しては、現状では相場はないというのが事実である。
上場会社の株式の買い取りであれば、市場価格が目安になるが、それ以外は、目安になる指標はあるものの、最終的には、買い方と売り方の希望価格が一致した時、それがその企業の代金額としか言いようがないというのが現状の実務である。
しかし、考え方のポイントはあるので、以下に説明しよう。

2.時価純資産価値と暖簾

時価純資産価値は、ストックに着目した価値評価であり、将来的な価値は含まない。そこで、企業価値は将来の価値を加えるため、営業権を加え、時価純資産価値+営業権と考えられる。
営業権(暖簾)は、株式未上場企業の実務では、経営利益の二年分を目安にする例が多い。なぜ二年分かであるが、これに明確な根拠はないが、最近のM&A実務では一般的である。そして、将来の発展性が見込まれれば、三年分、四年分ということもあり得るし、逆もあり得る。
時価純資産とは、貸借対照表の資産を時価に換算しなおして、資産から負債を差し引いたもので、資産は、勘定科目を再調達価格で評価する。例えば、

売掛金、受取手形は、回収不能債権を減額する。
棚卸資産は、不良在庫分を減額する。
不動産は処分価値が原則であるが、土地は路線価、建物は、固定資産税評価額で行うことも多い。また、外食産業等では、建物や内装が、客にどうアピールするかが重要ということもある。
上場株式は、市場価値に置き換える。非上場株式は、相続税の計算式を参考にすることが多いが、現実的な価値を算出するのは、容易ではない。困るのは、株式の持ち合いである。結果的には、価値評価できないということも多い。
引当金は、不足分を織り込む必要ある。

ところで、理論的には、DCF法の結果から時価純資産法により算出した額を控除したものが暖簾(営業権)と言えようが、これがマイナスとなることも多い。マイナスとなるのは伝統的大企業に多い。蓄積はあるが利益は出ないからであり、経営資源を効果的に活用していないということを意味する。そのため、このタイプの会社は敵対的TOBのターゲットになりやすい。また、M&Aの価格設定で純資産方式にこだわると、なかなか買い手が付かのということになってしまう。

3.利回りという買い手側の論理

買手の心理としては、まず、買取りに投入する資金の利回りを考えることが多いであろう。この視点から、非上場の企業で、株式買い取りというスキームでのM&Aで考えてみよう。
1億円出して100%の株式を買い取った場合、税引き後の利益が、年間1,000円あれば、利回りは10%となり、このままであれば優れた投資物件となる。減価償却費や引当金などを加えれば、さらに利回りはアップする。
ところが、実際の企業には、銀行借入等の有利子負債があるはずで、利息を控除した元本部分の返済が、年間800万円あれば、結局利回りを計算する利益は200万円であり、利回りは2%しかない。
不動産への投資であれば、これでは投資する意味がないということになるが、M&Aの場合は、事情が異なる。有利子負債の返済が完了すれば、利回りは10%にアップするので、将来、有利な投資対象に変わりうるのである。
また、これに、M&Aによるシナジー効果が期待できれば、投資価値は向上するし、新たなビジネスモデルの展開とか、新たな設備投資により利益を拡大できる。となれば、投資対象としての意義は拡大する。
そこで、M&Aの実務では、税引き後利益に償却費を加えたものであるEBITDA(Earnings. Before. Interests(利子). Tax(税). Depreciation(減価償却). Amortization(償却))の4−5年分を買収代金の目安とすることは多い。これによれば、EBITDAが1,000万円であれば、売買代金は5,000万円ぐらいということになる。
ところが、実際のM&Aの世界では、ターゲット企業を検討すると、有利子負債が大きく不良債権化していて、利息だけ支払っているという状態ということも多い。これでは、投資対象としては、価値がないということになる。M&Aの対象にするには、手を入れる必要がある。
ところで、異業種の買い手の方が同業者より高値で買うといわれる。なぜかと言えば、新規分野に進出し創業する費用を考えると、高くても買収する価値があると考えるからである。買い手としては、このような場合、引き後利益の20年分が代金でも買う価値があることもある。
勿論、買い手側としては、利益が出ていない会社でも、そこの経営資源を自己のノウハウで活用すれば利益が上がるという自信があれば、買う価値が出てくるのである。例えば、老舗旅館には立派な建物や庭がある。仮に債務超過であっても、これを宣伝広告力ある旅館チェーンを持つ企業が買い取れば大きな利益を上げる可能性はある。将来の収益性を前提に購入代金を算出し、相応の代金でM&Aが成立しうるのである。

4.ディスカウントキャッシュフロー(DCF)

利回り計算と同じように、税引き後利益をベースにするが、より論理的な方法に、DCF法(Discount Cash Flow)という方法が使われることがある。長期の投資効果を測ることを目指すものである。
将来生み出すキャッシュフローを現在価値に置き換えたものの合計額をベースとして、企業価値を省くものである。
キャッシュフローは、
税引後利益+減価償却費+引当金繰入額
である。
現在価値に置き換えるための割引率は、期待する収益率である。期待する収益率を10%とすると、
1年後の100万円は、100万÷(1+0.1)=約91万
2年後の100万円は、100万÷(1+0.1)÷(1+0.1)=約83万
となる。これを繰り返すと、3年後は約75万円。4年後は、約68万円。5年後は、約62万円となる。これらをすべて足し合わせると、キャッシュフローの現在価値が出る。
このキャッシュフローの現在価値は、事業に使用している資産の価値を含んでいるが、事業に直接使用していない資産は含まれていない。そこで、甲社の資産である定期預金などの余剰資金を加え、有利子負債を差し引いたものが、企業価値ということになる。
いずれにしても、老舗で、不動産を多数所有しているが、収益性の低い企業は、売り手にとっては、高く評価してもらえないということになろう。しかし、逆に、創業が新しいが利益の出ている企業にとっては、満足できる価格が出ることが多いであろう。
さて、ここでいう割引率は、企業価値算出の場合、多くは加重平均コストWACCを使う。
WACC=[ rE×E / (D+E)]+[ rD×(1-T)× D / (D+E)]
rE=株主資本コスト、rD=負債コスト、D=有利子負債の額、E=株主資本の額(時価)
T=実効税率
この数式で、判りづらいのは、まず、rD ×(1-T)の部分であろう。
rD=金利=支払い利息/ (期首有利子負債-期末有利子負債) 負債には節税効果があるので、負債は実効税率Tの分だけ割り引かれる。其の結果、上記の算式の通りになる。
次に、株主資本コストを検討しよう。
株主資本コストは、一般には、株主が企業に期待する利回りを前提に、CAPM(Capital Asset Pricing Model 資本資産価格モデル)を使う。
これによると、
株主資本コストrE=リスクフリーレート+β×リスクプレリアム となる。
リスクフリーレート=無リスクで運用できる金融商標品
であるが、日本にはそのようなものは存在しない。しかしそういってしまうとDCFは計算不能となるので、今やかなり怪しいが、便宜的に10年ものの国債の利率を使うようだ。
リスクプレリアム=市場全体の投資利回り−リスクフリーレート
β=個別株式の変動 / 株式市場全体の変動(企業ごとに違う)
である。
なお、リスクプレミアムは、日本企業の場合、4.5〜5.5といわれる。
また、βは、非上場企業では個別株式の変動データが入手困難なので、両者は完全に連動していると仮定して、1とすることが多い。
結局、株主資本コストは、10年物国債の利率が例えば1.45とし、リスクプレミアムを平均的な5.0とすれば、
1.45+1×4.5=5.95 となる。
この様に、DCF法を見てくると、DCF法の手法を使うためには将来の事業計画が存在し、その企業に適した割引率を選ばなければならないが、中小企業の場合、説得力のある事業計画を提示できる前提がないことが多い。となればDCF法そのものが、使いこなせないということもあり得るのだ。

5.その他の評価

財務理論から検討してみると、財務理論で企業価値を定義すれば、
企業価値=株式時価総額+純有利子負債(有利子負債―現預金等) ということになろう。
しかし、中小企業では、株式時価総額をどう算出するかが難しいのである。この算式も中小企業の場合、現実的でない。
結局、M&Aを成功させるためには、さまざまの要素を考慮してスキームを作成できる、実力のある仲介者やオーガナイザーが必要なのである。

<退職金で節税>
株式を取得するとき、代金を安くして、その金額にみあう金額を退職慰労金でわたすという方法を使うと、全体的に節税できる。
ただし、退職慰労金をあまり高くしすぎると、否認され配当とみなされるので注意を要する。退職金は最終月の月額報酬×役員就任年数×2.5ないし3ぐらいが上限である。

<顧問料で老後確保>
売り手側にもいろいろな事情がある。中小企業では社長の老後の生活設計が重要な要素となることが多い。そのため、売却後10年間は社長を顧問として雇用することとし、その顧問料が事実上の売却代金の分割払いとなるという例もある。
残った企業を破産で処理する時には、顧問料は効果的である。社長は銀行の借り入れに対して個人保証をしているので、会社と一緒に自己破産せざるを得ないことが多いが、将来的な顧問料は財団に組み込まれないので、破産の開始決定後受け取る顧問料は、自由財産としてそのまま取得できるからである。

6.高く売るポイントは?

組織をしっかりと構築することは重要である。ワンマン社長でなければ動かないのは、M&Aの対象としては、最悪である。
自社独自の強みを持つことが大事である。具体的には、強い技術力、ブランド力、店舗網、有力企業が取引先、特定商品、特定地域での高いシェア、許認可、同業他社より高い収益力などである。
株主を減らし自社株買い、名義株の処理、ただし、自社株買いは会社資産が出るので、株価下落することがあることに注意。
節税を止め、利益を出すべきである。
内部留保した会社は高く売れるが、売らずに廃業すると課税により大損することになる。

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