この場合、日本女性は、その後この決定に納得できずに、父親に無断で子供を日本に連れ帰って大騒動になることが多い。このような行為は、父親の国では、立派に誘拐罪という犯罪になるが、母親の日本女性にとっては、「自分の子供を連れてかえって何が悪いのか」と考えるからである。
2009年9月、アメリカ男性が、このようなケースで、日本に来て自分の子供を取り返そうとして、逆に、日本の刑法により父親が誘拐罪として逮捕されたというケースが発生した。父親は、アメリカのテネシー州で、単独親権を獲得していた。
アメリカのマスコミは、違法逮捕だと騒いでいるようだが、日本では、全く違った反応が見られる。
日本では、小学校を卒業する頃までは、母親が希望する限り子供の親権者は母親がなるべきで、父親に親権を与えたアメリカの裁判所こそ間違っていると考えるのが一般的だ。しかも、日本の裁判所は父親の面接交通権(visiting right)には極めて冷淡で、1年間で、2−3回、しかも昼間の限られた時間のみというケースが一般的である。更に、かように面接交通権が制限されているにもかかわらず、父親は、毎月子供のための養育料(平均的には、1人の子供につき、月3−5万円)を母親に送金しなければならない。
日本では、このように、母親の権利は、ほとんどオールマイティである。これは、日本の文化に深く根ざしているもので、こんごも簡単には変わらないであろう。
そのため、母親が日本に子供を強引に連れ帰って、日本の家庭裁判所に親権の変更を申し立てると、それが認められることが普通だ。 |